《企業不正の正体(本質的な原因)を理解する》

効果的な不正対策を構築する上で重要なことは、企業不正の正体(本質的な原因)を十分に理解しておくことです。

企業不正の正体(本質的な原因)を一言で表現すると以下のとおりです。
■企業不正の正体(本質的な原因)
=「不正を行うのに圧倒的に有利な状況を目の前にすると、その誘惑に負けて良心の呵責を乗り越えてしまう」という人間の持つ本質的な弱さ

そして、「不正を行うのに圧倒的に有利な状況」のことを「不正トラップ(罠)」と言い、次の3つの状況を指します。
■不正トラップ
①不正を実行可能な機会があること
誰にも見られず、誰にも知られずに不正を実行できる機会がある
②不正の発覚を困難にする「信頼の丸投げ状態」が存在すること
経営者や上司から全面的な信頼を得ているという自信から、疑われるリスクが極めて低いと考えている。また、信頼により業務が丸投げされている状態であることから、任された業務については誰からのチェックも受けず一人でいかようにでも処理できるため、不正の発覚を困難にする改ざんや偽造などの隠蔽工作が容易である
③自分の行為を正当化する理由が存在すること
万が一、不正が発覚しても、「会社は外部に知られるのを恐れて大ごとにしない」とか「自分の会社への貢献度を考えれば大目に見てくれるだろう」といった良心の呵責を乗り越えられるだけの理由が存在する。すなわち、自分の行動は道徳・倫理に反する行動ではないと自分を納得させてしまう

効果的な不正対策とは、この「不正トラップ」を防止することです。

そして、この不正トラップを防止するために、中堅・中小企業に最適な不正対策プログラムを独自に体系化しました。それが「守りの3本柱」と「攻めの不正調査」です。当事務所の総合不正対策とは、これをマネジメントに適切に組み込むことです。その概要は以下のとおりです。

 

《ステップ1:守りの3本柱=不正防止の3本柱を導入する―不正トラップを防止する仕組み》

【次の3つのアプローチ(守りの3本柱)をマネジメントに組み込む】
3本柱の基本概念は以下のとおり。
①企業理念アプローチ
⇒ 不正を正当化させない仕組み《人の心理に向けて作用する》・・・人の心情面に働きかけて、良心の呵責を乗り越えられないようにする
②社内競争環境アプローチ
⇒ 社員間の相互牽制を働かせる仕組み《相手の行動に向けて作用する》・・・相手の行動に目を光らせ、不審な行動を監視する
③見られる化アプローチ
⇒ 自分の行動をディスクローズ(公開)する仕組み《自身の行動に向けて作用する》・・・人から常に見られるようにすることで、不正を実行する機会を失わせる

不正トラップと3つのアプローチ(3本柱)の関係は以下のとおりです。

※ 上表からわかるように、3本柱は不正だけでなく、事故防止にも効果を発揮します。
3本柱にはさまざまな「具体的施策」が用意されており、各企業の実態に合わせて最適な仕組みを導入します。

 

 

《ステップ2:攻めの不正調査=短期不正調査を導入する―不正発見のための仕組み》

具体的には不正を発見するための「3つの技術」を利用して極めて効果の高い短期不正調査を行います。

【不正を発見するための3つの技術】

  1. 現物を確かめる技術(現金・預金・有価証券などの会社財産を目で見て、数を数えて確かめる方法)―『実査』と呼ぶ
  2. 観察する技術(実地棚卸の現場立会など、観察により問題点を発見する方法)―『立会』と呼ぶ
  3. 証拠を入手する技術(銀行、得意先、仕入先など社外から直接、債権債務の残高記録を書面で入手する方法)―『確認』と呼ぶ

この3つの技術を使うことで、極めて効果的な「不正調査(短期不正調査と呼ぶ)」が可能になります。これを実行するために、社内に短期不正調査のできる人材を育成します。(少なくとも1人)

 

★守りの3本柱と攻めの不正調査を社内に根付かせるために、6か月間のプログラムを実行します。

コンサルティング・パッケージ価格(6ヶ月間プロジェクト:ステップ1及びステップ2)
・120万円(税別)

交通費および宿泊が必要な場合は、実費精算となります。

 

【当事務所の不正防止策の特徴】

「ウチの会社に不正は無い」「ウチに限って不正などは起こらない」と、なんの根拠もなく思い込んでいる経営者の方は、実際に不正が起こってしまったときに、その被害額の大きさに愕然として「どうしてこんなことが・・・・」と絶句します。そして、従業員を信頼するだけで、不正に対して全く無防備だったことをひどく後悔します。

企業不正は世の中で頻発しています。しかし、報道されるのは上場企業など、ほんの一部の大企業に限られます。中小企業で大きな不正が起これば、あっという間に会社存続の危機に陥ります。

会社経営にこれほどの甚大な影響を及ぼす経営問題であるにもかかわらず、実は99%以上の企業が、ほとんど有効な対策をとらず、放置しています。

どうしてこのような状況が放置されているのでしょうか?それは、手続き規定やマニュアルといった一般的な社内ルールがあるから大丈夫だろうと勝手に思い込んでいるからです。

実は企業不正が起こるのはルールが無いからではなく、ルールを無視するから起こるのです。そして頻繁に、証拠の改ざんや偽造といった行為が伴うために発覚しにくいのです。

不正防止のためにルールをつくるのは容易です。しかし、本当にルールが守られているかどうかを検証するのは極めてむずかしいのです。それは、一般的なルールが証拠の改ざんや偽造といった偽装工作を想定していないからです。だからこそ防止網をくぐりぬけた想定外の不正行為は、その規模をどんどんと拡大させてしまうのです。

私は、長年の監査実務において、企業不正による多くの悲惨な結果を目の当たりにしてきました。不正行為は不正を行った本人の人生を狂わせます。そして本人だけでなく、会社や経営者、従業員までもが危機にさらされます。これほどの重大な事態をもたらす企業不正について、その本当の原因を理解している経営者は極めて少ないのが現状です。「もっと早く発見できていれば、会社も本人も大きな痛手を被らずに済んだのに」との思いがこみ上げてきます。

企業不正の本当の原因とは、「不正を行うのに圧倒的に有利な状況を目の前にすると、その誘惑に負けて良心の呵責を乗り越えてしまう」という人間の持つ本質的な弱さです。だからこそ、従業員から経営者まで、だれもが不正の罠に陥る危険性があるのです。私はこれを「不正トラップ」と呼んでいます。

本当に必要な不正対策とは、不正トラップに陥らない仕組みを作ることです。そのためには、不正の誘惑を断ち切るための内面(心理面、倫理観、道徳心)と不正の誘惑が起きない外面(不正を実行できる機会を無くす)の両方を同時に強化する対策が必要です。
不正トラップをどうやって回避するのか?それには「守り」と「攻め」の対策が必要です。不正に対しては「守り」と「攻め」が一体になってこそ、その効果は絶大になります。

「守り」とは不正が起こらないようにすることであり、それは「不正防止の3本柱」を構築することで可能になります。
もう一方の「攻め」の対策とは、積極的に不正を発見しようとすることであり、それは「不正調査」です。確実に不正を発見できるような不正調査が可能であれば、それは不正に対する強力な武器になります。

「守りの3本柱」と「攻めの不正調査」の両方が一体となって機能する仕組みは、従来の不正対策と大きな違いがあります。従来の不正対策は強制的に不正行為を防ごうとするものです。言うなれば「臭いものに蓋をしてしまおう」という発想です。面倒な手続き、チェック作業が増え、資料作成に膨大は時間と労力を要します。当然、社内に不満が溜まってきます。そして、これらの作業を皆が無駄だと思い始めると形式主義がまかり通るようになります。形だけ整えて中身が無くなってしまうのです。ルールがあってもそれを無視して守っているフリをするようになります。これがコンプライアンスの弊害とか内部統制の限界と呼ばれる現象です。

根本的な不正対策とは臭いものに蓋をするのではなく、臭いもの自体を無くしてしまうことです。単に新たなチェック手続きを追加するのではなく、自発的に不正を抑える仕組みが必要なのです。「自発的に不正を抑える」ということは、社員自身はそれが不正対策だと気付いていないことを意味します。不正防止の3本柱と不正調査は「自発的に不正を抑える」仕組みです。その最大の特徴は「企業の収益性、競争力を一切犠牲にしない」ということです。

徹底した不正防止と企業の競争力強化は、一見すると二律背反している課題に思われます。しかし、長期に亘りグローバルに競争力を維持し続けている優良企業は、必ずと言って良いほど、この2つを両取りしています。企業が存続し続けるための条件と言っても良いでしょう。こういった企業は「不正の起きない企業風土、組織文化」を持っています。それは「不正を許さない企業風土、組織文化」と表裏一体です。そのために必要不可欠な仕組みが「守りの3本柱」と「攻めの不正調査」です。中堅・中小企業に最適な、現実的で効果的な不正対策なのです。

對馬公認会計士事務所
代表 對馬 英年